女性 55歳 会社員 155cm 46kg
◆症状の経過
3年前に母が他界。更年期と重なり不眠に悩み睡眠導入剤を服用していた。半年前、服薬しても眠れない日々が続き、めまいと左顔面部の違和感があった。翌日、耳鼻科を受診して「ベル麻痺」と診断された。誘発筋電図検査で、患側の振れ幅が健側の2~3%だった(10%以下で予後不良のことが多いと言われる)。血流を良くする薬と点眼薬を処方され、鍼治療も始め瞼や口元は少しは動くようになった。しかし、まだ完全に瞼は閉じず、食事や水が麻痺側の口角からこぼれるので、発症後2カ月目に自宅の光線治療器を思い出し、治療法確認のため当附属診療所を受診した。
◆光線治療
◆治療の経過
自宅で毎日光線治療を行った。発症後3カ月(光線治療開始から1カ月後)が経過したが変化がなかった。治療用カーボンを変更したところ発症後4カ月目に右側に比べ痩せてしまった左側の頬に、少し厚みがでてきた。飲食物が患側の口角からこぼれていたが、半年後の現在は急いで食べなければこぼれなくなり、左瞼が閉じるようになった。睡眠の質が良くなり、毎日服用していた睡眠導入剤は時々服用する程度で済むようになった。さらなる症状改善を目指し治療は継続中である。
令和3年6月1日発行 機関紙「光線研究」より